うちの子、変な声を出す…それ、もしかして“音声チック”? 〜 【体験談】長男の音声チックと向き合う日々 〜音声チックとの付き合い方 〜

チック症

子供の“変な声”に不安を感じたら

 ある日突然、子どもが「うっ」「へっ」「カーッ」など、意味のない声を出しはじめたら——。

最初は「ふざけてるのかな?」と思っていても、頻繁にその声が出るようになってしまい、注意してもやめない状態に、、、。そう言う場合は「どこか悪いの?」と、不安になる親御さんも多いのではないでしょうか。

 私もそのひとりです。 最初は短い発声。でも、それが何度も繰り返されるようになり、注意しても止まらない。正直、戸惑いと心配でいっぱいでした。

 しばらくすると、意味のない奇声だけにおさまらず、「◯ね!」、「◯んこ!」等という言ってはいけない言葉まで出るようになってきました。

 そんなときに出会ったのが、「音声チック」という言葉でした。

 今回は、小学3年生になる長男の「音声チック」について、これまでの経過や今の思いをお話ししたいと思います。

 同じように音声チックに悩むお子さんと過ごすご家庭の参考になれば、という思いで書いています。

我が家の場合 〜 はじまりは、幼稚園年長さんの頃 〜

 長男は、現在小学3年性で、自閉症スペクトラム症と診断されていることもあって支援級に通級しています。

 そんな長男は、幼稚園の年長くらいから、ふとした瞬間に「あっ」とか「ファッ」という奇声を発するチック症の一種である音声チックと呼ばれる症状が見られるようになりました。

 親としても、長男が奇声を発することに最初は戸惑いましたが、チックの一種であるという指摘を通院先の医師に指摘され、それから気をつけて観察するようになりました。

 すると、音声チックは、幼稚園の学習発表会等のイベントの前などの緊張感が高まった時に特に目立つことがわかり、イベントが終了するとその症状がなくなるという状況でした。

 そして、最初は注意すればやめると思っていましたが、注意すればするほど増えているような気がしました。

 「注意する → やめようと頑張る → 緊張 → もっと出る」という悪循環になっている気がしたのです。

 親としては「やめて」と言いたくなるのが自然ですが、本人にとっては「我慢しても出てしまう」もの。 この事実を知ったとき、ようやく「治すべき行動」ではなく「寄り添うべき症状」なんだと理解していきました。

図:長男の初期の音声チック症状

音声チックの種類具体例
簡単な発声「あっ」、「ふぁっ」など
動物のような音咳払い、鼻すすり、唸り声など
単語・暴言「◯ネ!」、「ばか!」など
連続した言葉意図しない短文のような言葉

小学校に入ってからの変化、暴言に繋がる場合も…

 小学生になると、音声チックの様子が変化しました。

 小学生に入るとイベント前の緊張感からチック症状がでるのは変わらないのですが、その言葉が「◯ネ!」、「おっぱい」等という突然聞かされると耳を疑うような言葉になっていったのです。

 そして、小学校3年性となった現在は、数秒おきに「◯ネ!」、「◯ンデ!」、「◯んこ」と結構なボリュームで家でも外出先でも叫んでしまうようになりました。

 それに加えて数ヶ月前から、私が家での行動を注意すると「うるせぇ」、「黙ってろや」、「わかってんだって」などの口答えをするようになり、時には「ぶん殴るぞ」、「◯ネや」など、私に向けて暴言を吐いたり、殴りかかる仕草をするようになったのです。

 私は、息子と過ごす時間全てでこの言動が続いていることから、正直参ってしまいますし、4歳になる娘に悪影響があるんじゃないかと心配してしまい、家庭内の空気が張り詰めることもあります。

 音声チックは、本人が我慢していても出てしまうとは理解できても、何度も聞かされるとどうしても注意したり、こちらが参ってしまうと言う悪循環に陥ってしまうのです。

音声チックとは?簡単に言うと…

 音声チックとは、声や音を発してしまう症状です。以下のような例がよく見られます。

音声チックでよく見られる例
  • 何度も咳払いやうなり声を出す
  • 急に叫ぶような声が出る
  • 同じ言葉を繰り返す
  • 動物の鳴き声のような音を出す

 これらは“無意識に出てしまう”もので、子ども自身がコントロールできないことがほとんどです。

 実は、こうしたチックは 子どもの10〜20% が一時的に経験するとも言われています。 つまり、珍しいことではないようです。

「音声チック」?それとも「トゥレット症」?

 音声チックを調べるうちに、トゥレット症という症状もあることがわかりました。

 この違いについては、正直言って今でもよく理解できていませんので、チック症、トゥレット症について説明している『NCNP病院国立精神・神経医療研究センター』のサイトを引用させていただきます。

チックは、思わず起こってしまう素早い身体の動きや発声です。まばたきや咳払いなどの運動チックや咳払いや鼻すすりなどの音声チックが一時的に現れることは多くの子どもにあることです。多くの場合には、そのまま軽快します。

 しかし、症状が治まったチックが再び出現し、強まったり、より複雑な動きや発声がみられたり、ということを繰り返しながら、多彩な運動チック、音声チックが1年以上にわたり強く持続し、日常生活に支障を来すほどになることもあります。その場合にはトゥレット症とよばれます。

 トゥレット症は、典型的には、4〜6才に症状が出現し、症状は10〜12歳ぐらいに一番強くなり、成人になると改善するという経過をとりますが、成人期になっても強い症状が持続していたり、成人期になってからの方が悪化するという場合もあり、経過は多様です。

 トゥレット症の症状の現れ方は、そのときどきの緊張度によって異なるため、ストレスや厳しい子育てによる心理的な原因で現れると「誤解」されることがあります。トゥレット症は、体質的な疾患で、脳の働き方の違いによって起こるものです。トゥレット症は、人口1000人あたり3〜8人に認められ、男性のほうが女性より2〜4倍多く見られます。 

引用元:NCNP病院国立精神・神経医療研究センター

 このように、チック症が1年以上強く持続した場合、トゥレット症と呼ばれるそうなのですが、長男がチック症を発症してから数年経過していますので、もしかするとトゥレット症と呼ばれるカテゴリーに入るのかもしれません。

 正直、病名はなんだっていいのですが、その症状が出ている人を実際に目の前にしなければ、ピンとくる人は少ないのではないでしょうか。

 息子の症状について、このブログで動画をあげたいところですが、身バレが怖いため動画を上げるのはやめようと思います。(すいません。)

 ただ、最近テレビのニュース等でもチック症やトゥレット症について特集されてきているのでそれらを参考としていただけたらと思います。

 読売新聞オンラインでは、『トゥレット症を背負って』という記事が掲載されており、この記事で紹介されている男性が抱える症状は、はまさに息子と同じ症状だったこともあり、この男性と息子を重ね合わせ、思わず涙が溢れてきました。

 この症状を取り上げてくださった読売新聞さんには感謝したいですし、この記事に出てくる男性も自身のYouTubeでトゥレット症のことを話してくれている様なので、少しでも皆さんの目に触れてほしいと思いますし、この症状が世の中に認知されることを願っています。

今後どう向き合っていくか

 何か良い解決策がないか頭を悩ませる日々です。

 日頃から大きな声で「シネ」という言葉を聞き続けるだけでメンタル的にもしんどいですし、外出先でも気にかけなければならいというのもしんどい。

 家族で公共交通機関で移動することが稀にあるのですが、その時も息子の奇声、汚言が気になって仕方ありません。

 育て方が悪かったのか、環境が悪かったのか、と自分を責めては落ち込む日々ですが、同じ症状を持っているお子さんをお持ちの方々が投稿しているInstagramやブログを見て、少しでもポジティブにいられる様にしています。

 夫も私も息子の症状に悩まされ落ち込むことが多いですが、親である私たちが沈んでいるとますます息子のメンタルに悪影響が出ると思っているので、悩みは尽きないとは思いますが、少しでもポジティブに過ごしていこうと思っています。

療育で教わった「感覚刺激」の大切さ

 息子が通う療育先の指導員の方には、息子の症状について相談させてもらっています。

 指導員の方からは、特に暴言についてのアドバイスをいただき、感覚刺激を求めている可能性について教えてもらいました。

 息子の場合は、学校では奇声を発することを我慢している様子なので、その分家庭で爆発的に発散しているため、音声チックと同時に溜め込んだものを発散のために暴言が出ている可能性があると話していました。

 そのため、自宅でも感覚に刺激を入れるという方法を提案していただき、左右に10回ずつ回転するという刺激を与えてみるころにしました。

 早速試してみたところ、徐々にではありますが、親に対する暴言、暴力的な仕草は低減した感じがします。

 ただ、あわよくば音声チックも落ち着いてくれるといいなと思ったものの、暴言が少なくなっても奇声、汚言はなくなることはありませんでした(笑)

将来に対する不安

 ポジティブであれと思いつつも将来に対する不安は強いです。

 今は、子供が小さいため外出先でも一緒に行動することから、外出先で奇声が出ても、私が独り言の様に「また出始めたなぁ。」等と呟いたりして、周りの人に暗に『この奇声は病気によるものなんですよ』アピールをしていますし、周囲に迷惑がかかる環境の場合は、直接注意しています。

 ですが、本人が成長して1人で行動する様になった場合、一人でいるのに「◯ネ」とか突然叫んでいると奇異な目で見られるでしょうし、何かトラブルに巻き込まれるということもあるかもしれません。

 そう考えると不安で不安で仕方ないです。

 そのために、なんとか音声チックが緩和してくれることを願っていますが、私がそうやって不安に思っていればいるほど敏感な息子は何かを感じ取って私の不安が伝播して、症状が悪化してしまうのかもしれません。悩ましい、、、

親としてできること:無理にやめさせなくてOK

 音声チックは、多くの場合『一時的なもので、自然におさまる』ことが多いようです。

 だからこそ、焦って「やめさせよう」とすると、かえって症状が強くなることもあると言われています。

 だとすると、我が家の対処は悪手中の悪手ということになります(汗)

対応のポイント
  • 叱らない・注意しすぎない
  • 気にしないふりをする
  • リラックスできる時間を増やす

 「音声チックかも?」と気づいたとき、一番大切なのは 親の受け止め方 だなと痛感します。

 子どもは、自分の行動に親がイライラしていると敏感に感じ取り、それだけで緊張してしまいますから、親である私たちがどっしりと構えるしかないのかなと考えています。

チックは『個性』ではないけど、『悪い癖』でもないという割り切り

 音声チックは病気ではあるけれど、すぐに薬が必要なケースは少なく、多くは経過観察です。 それよりも、子どもが安心できる環境や、自己肯定感を育むことがとても大切だと感じています。

 「やめさせなきゃ」と無理に思わなくて大丈夫じゃないかなと思います。

 子どもを“治す対象”ではなく、“そのまま受け入れる対象”として見てあげることが、いちばんのサポートになるのではないかなと思います。

 という話を私がしても説得力がないと言われそうですが、、、(笑)

同じ悩みを抱える方へ

 考えれば考えるほどネガティブ思考に陥ってしまいますが、私を含め家族全体が少しでも笑顔で過ごせる様にしていきたいと思います。

 同じ症状で悩んでいる方に何か参考になってくれたらなと思っています。

 音声チックやトゥレット症は、見た目ではわかりづらく、誤解や偏見を受けやすい症状です。

 最近ではメディアで紹介される機会も増え、少しずつ理解が広まっていることに希望を感じています。

 すぐに解決できることでもないですし、周囲の理解もすぐに得られるわけではありませんが、少しずつ向き合っていければと思います。

 この記事が、同じように悩んでいるご家庭の支えになれば嬉しいです。

 では、また。

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