はじめに:発達障害・音声チックがあっても、スポーツは楽しめる?
「発達障害や音声チックがある子に、スポーツを習わせても大丈夫かな…?」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
我が家の長男は、自閉症スペクトラム症(ASD)と音声チックのある小学4年生。
感情のコントロールが難しく、集団行動や運動も得意ではありません。
それでも小学校入学をきっかけに、“緩め”の野球クラブに通わせることにしました。
本記事では、発達障害と音声チックを抱える長男がスポーツを始めた理由や、
「ただ通っているだけ…?」「辞めさせたほうがいいのかも…」と葛藤した親の気持ち、
それでも続けてよかったと思える今の姿までをお話ししていきます。
小学校入学後に始める習い事|発達障害の子に合うスポーツを探して
小学校に入学するタイミングで、「何か習い事を始めさせたいな」と考えるご家庭も多いのではないかと思うのですが、我が家もその一つでした。
特に私は、スポーツ系の習い事をしてもらいたいという思いがありました。
理由は、単純に「体を動かすことは基礎体力の向上につながる」と思ったからです。
そしてなにより、学校や家庭以外の場所での人との関わりを通して、
少しずつでも社会性やコミュニケーション力を育んでいけたらいいなという思いがありました。
実は、我が家の長男は発達障害(ASD)と音声チックがあり、
特に感情のコントロールや集団行動が苦手なタイプ。
それでも、本人が無理なく通えて、少しでも「楽しい」と思えるような、
ハードルの低いスポーツ教室を探してみようと思ったのが、すべての始まりでした。
長男の発達障害と音声チックについて
まずは、我が家の長男について。
我が家の長男は、ASD(自閉症スペクトラム症)を抱える小学4年性。
些細なことで癇癪を起こすなど感情のコントロールに課題を抱えています。
そんな長男には『音声チック』という自分では意図せず「あ!」「◯ね!」等と発語してしまう言葉のチック症状も出ています。
これらの症状は本人にもコントロールができないため、周囲の理解を得ることも簡単ではありません。
私たち親も、どう向き合えばよいか悩みながら、日々を過ごしています。
詳しい経緯やこれまでの体験については、以下の過去記事でまとめていますので、
ご興味のある方はぜひご覧ください。



発達障害の息子にスポーツを習わせたいと思った理由とは?|親の願いと背景
なぜ発達障害の息子にスポーツを習わせたかったのか
発達障害の有無にかかわらず、「子どもには何かスポーツをやらせたい」という気持ちは以前からありました。
正直、長男は運動が得意なタイプではありません。
身体の使い方もぎこちなく、基礎的な体力も十分とは言えない状況です。
だからこそ、「スポーツを通じて身体の動かし方を覚えてほしい」「少しでも体を強くしてほしい」と思っていました。
また、発達障害を持つ子にとって“人との関わり”を学べる機会はとても貴重です。
スポーツには、自然と他の子どもたちと関わる場面が生まれます。
無理のない範囲で、そういったコミュニケーションの場にもなればいいなという思いもありました。
スポーツ教室に求めた条件は…
長男のスポーツ教室に求める要素は次のようなものがありました。
- 発達障害児でも参加できる環境であること
- 少人数での活動でペースを掴みやすいこと
- 運動が苦手でも楽しく参加できること
- 身体を動かしながら、他の子との関わりが持てること
近所の教室やクラブをいくつも調べ、野球、サッカー、バスケットボール、剣道など、選択肢はいくつもありました。
でも、どのクラブも“ある程度のスキルや集中力”を求められる印象が強く、「いきなり本格的なクラブに入るのは難しいかもしれない」と感じました。
そこで私たちは、初心者や運動が苦手な子でも参加できる、“緩め”のスポーツクラブを探すことにしたのです。こんな感じの条件で、長男が「やりたそう」な「やれそう」なスポーツクラブを探しました。
少人数&やさしい指導が決め手|発達障害の息子が選んだ「緩めの野球クラブ」
いろいろな選択肢の中から、我が家が最終的に選んだのは「野球クラブ」でした。
本格的な大会出場や厳しい練習を行うようなチームではなく、「楽しむこと」を大切にしている緩やかなクラブです。
クラブ名は控えさせていただきますが、札幌市内で複数の地域にチームがあり、地域に根ざした活動を行っています。
長男が所属しているのは低学年クラスで、コーチ1名に対して子どもは5人という少人数体制。
通常、野球は9人で行うスポーツですが、このクラブでは少人数であるため試合は行わず、基礎練習やキャッチボール、バッティング練習などを中心に、「野球って楽しい!」と思えることに重点を置いた活動をしています。
練習は週1回、近所の公園内にある野球場で実施されており、負担も少なく無理なく続けられる環境です。
このクラブを選んだ大きな理由は、「指導が優しく、少人数でプレッシャーが少ない」こと。
発達障害のある長男にとって、大人数での活動や厳しい指導は大きなストレスになる可能性があります。
だからこそ、このような“寄り添ってくれる指導”と“のびのびできる環境”は、まさに理想的でした。
長男自身も、最初は緊張していましたが、少しずつ場所やメンバー、コーチに慣れていき、
笑顔でキャッチボールをする姿を見たときには、「このクラブにしてよかった」と心から思いました。
通ってはいるけどやる気ゼロ?辞めさせようとした時の親の葛藤
野球クラブに入ってから、早いもので4年が経ちました。
小学校1年生のときに始めたものの、正直なところ「ただ通っているだけ」という時期が長く続いていました。
練習に身が入らず、ほかの子が頑張っている横で座っていることもしばしば。
本人にやる気があるようには見えず、風邪を理由に1ヶ月間休んだこともありました。
そのたびに私は、「これって意味あるのかな?」「もう辞めさせた方がいいかも」と、心が揺れました。
月謝もかかるし、行かないなら無駄なのでは?と、親として当然の疑問も浮かびます。
しかし、「辞める?」と問いかけても、長男は頑としてNO。
その様子は、野球が好きだからというより、「やっていることを変えたくない」「ルーティンを崩したくない」という、彼特有のこだわりによるものだと感じました。
正直、「意地だけで通っているのでは?」と思ってしまうこともありました。
それでも、本人が続けたいという以上は、無理にやめさせるのは逆効果かもしれない――。
そう思い直し、「しばらくは様子を見守ろう」と、心に決めました。
練習のたびにモヤモヤする気持ちを抱えながらも、「今の長男にとって、必要な環境なのかもしれない」と信じて、通わせ続けることにしたのです。
それでも、通っているうちにわずかな変化が見られるようになりました。
“意味がないかも”と思った野球を続けて見えてきた小さな成長と希望
「通ってるだけ」「やる気がない」と悩みながらも続けてきた野球クラブ。
正直なところ、長男のプレーが劇的に上達したわけではありません。
野球に夢中になった様子もないし、プロ野球の話題にも興味ゼロ(笑)。
練習に行く日は、まるで機械的にこなしているように見えることもあります。
それでも最近、「やめさせなくてよかったのかもしれない」と思える出来事がありました。
- 少しずつチームメンバーと交流できるようになってきた
- 4年性になってから1人で練習場まで歩いて行けるようになってきた
この2つだけでも、私にとっては大きな進歩です。
以前の長男は、集団の中で言葉を交わすのも苦手で、移動にも付き添いが必要でした。
それが今では、慣れた道とはいえ、「自分で行く」と決めて動けるようになったのです。
子どもが成長するときって、必ずしも目に見える成果ばかりじゃないんだなと実感しました。
練習中の笑顔や、ちょっとしたやり取りを見て、「この子なりに居場所を感じているのかもしれない」と思えたのは、親としても嬉しい瞬間でした。
完璧にやりこなすことだけが習い事の価値ではない。
“続けてみる”ことが、その子のペースでの成長につながることもあるんだなと、今なら少しだけ実感できています。
親の想像を超えて…発達障害の息子が次に選んだ習い事とは?
野球クラブに加え、息子はこの春から新しい活動にも挑戦しています。
それは、学校の選択制のクラブ活動で自ら選んだ「サッカークラブ」。
学校のクラブ活動は、授業の一環で児童がパソコン教室やバドミントン、化学実験や工作などの様々なクラブから自分で選択するという活動です。
正直、私は驚きました。
というのも、長男はもともとあまり活動的なタイプではなく、スポーツも積極的にやりたいと言う子ではなかったからです。
でも今回、親が何も口を出さず、完全に本人の意思で選んだクラブが「サッカー」だったのです。
最初の活動日は、「サッカー、楽しかった!」と嬉しそうに帰宅。
なんと、上級生相手にシュートを止めたことを誇らしげに報告してくれました。
いつもは感情表現が苦手な長男が、ここまで嬉しそうに話すのは本当に珍しいことで、思わず私も笑顔になってしまいました。
長男は単身赴任中の夫にもテレビ電話でこのことを伝えており、よほど楽しかったんだと思います。
夫も、自分でサッカーを選んだことや楽しんでいることを「すごい!」と褒めてくれ、長男はそのこともすごく嬉しかった様子です。
本人が自分で選んで、自分の意志で取り組んだことだからこそ、きっと楽しさや達成感も違うのでしょう。
こうした経験を通じて、「やってみたい」「できたかも」という小さな自信を少しずつ育てていけたらいいなと願っています。
スポーツの得意・不得意ではなく、
「自分で選び、自分でやってみる」という経験が、発達障害を持つ子どもにとってどれだけ大切か──
改めて気づかされたできごとでした。
発達障害の子どもに「楽しい」を見つけてほしい──そのために親としてできること
野球、そしてサッカー──
いろいろな活動に挑戦する中で、私はひとつの願いを持つようになりました。
それは、長男が「自分に合った楽しいこと」を見つけてくれたらいいなということです。
発達障害があるからといって、特別なことを求めているわけではありません。
ただ、何かに夢中になったり、笑顔になれたりする瞬間が、彼の中に少しでも増えてくれたらと、心から思っています。
上手にできなくても、続かなくても大丈夫。
失敗しても、やめたくなっても、それはそれでひとつの「経験」です。
大切なのは、本人が「やってみようかな」と思えることに出会えるかどうか。
そのきっかけを、親として少しだけ後押ししてあげられたら──
それが私たちにできるサポートなのかもしれません。
今回、野球やサッカーを通じて感じたのは、
意外と発達障害のある子どもにも門戸を開いてくれているクラブや教室が多いということ。
もちろん、場所や内容によって相性の差はありますが、最初から「無理かも」と諦める必要はないんだと実感しました。
子どもたちには、自分の「好き」や「得意」を、少しずつ見つけていってほしい。
そして何より、自分らしく楽しめる場に出会ってほしい。
そんな風に願いながら、これからも見守っていきたいと思っています。
皆さんのお子さんは、どんなことに夢中になっていますか?
また、発達障害があっても安心して参加できる習い事、みなさんはどんな経験がありますか?
子どもに合った活動探しのヒントがあれば、コメントなどで教えていただけたら嬉しいです!
長々と書きましたが、最後まで読んでくれてありがとうございました。
では、また!
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